忍者ブログ
『がぁらないとシネマ』 この単語を聞いてピンと来ない方、今すぐUターン。早くしないとラッシュに巻き込まれます。
[1]  [2
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

どんな桜吹雪を見るよりも、目頭が熱くなっちゃったよ。


本当に、何となく。何となーくで、夜の森を散策してたんだ。
ある一角が人工的な灯りでぼんやり照らされてたからさ、
誰か居るのかなって思って、好奇心でそっちに駆けてったわけ。
そしたら案の定、人のシルエットが見えた。
微かに聞こえる声からも、女の子かな、なんて思いながら見てたら、
その子、コインを取り出して手の甲に置いたんだよぅ。
何が始まるんだろうって、ドキドキワクワクしながら見てたの。
そしたらさ、そしたらさ!そのコイン、どうなったと思う?

手の甲をすり抜けちゃったんだよぅ!
凄いよね、凄い!私、思わず感動して、声を張って叫んじゃった。
そしたらその子、凄くびっくりしちゃって。…あは、当たり前か。
で、怪しい者じゃないって弁解しようと思って近づいたら。
…あれ?って。何か見覚えあるよぅ?って。
さっきまではカンテラの光の逆光になって、顔がよく見えなかったけど。
うん、確かに見たことがある。
近くで聞いて、声にも聞き覚えがあることを確信した。
私が考えを廻らせてたら、向こうから、疑問を確信に変えてくれた。

少し、大人っぽくなったけど。
私の名前を呼ぶ声、ちっとも変わってない。
私に向けてくれる笑顔だって、ちっとも変わってない。
――この街に来て始めて出来た、親友って呼べるお友達。

私、もうはしゃぎにはしゃいじゃって。
サクラちゃんも同じくらいはしゃいでくれたから、すっごく嬉しかった。
『どうして何も云わずに居なくなっちゃったの?』
そう問いただすのも、サクラちゃんから謝られるまで忘れてたくらい、はしゃいでた。
けど…なんか、どうでもよくなっちゃって。
そう、どうでも良かったんだけど…少しは報復させてもらっちゃおうかな、って。
今度黙って私の前から居なくなったら、
探し出してでも最高に苦い薬飲ませてやるから、って。
約束、させてもらったよぅ。
サクラちゃん、薬を飲んだわけでもないのに苦い顔してたっけ。
でも、またすぐに笑ってくれた。

夜が更けに更けて、月が輝きを増す前に、
お互い少し大きくなったかもしれない手を繋いで、帰路につく。

―――大事なところが変わってないのは、サクラちゃんも、だよぅ?


19. February. 2007 / Evening
【エルフの森】 ★サクラ...

PR
Material : ミントBlue 忍者ブログ [PR]