√怠惰と努力と卵焼き。

『いってらっしゃい』　―――凄く、勇気の要る言葉。



【山頂の大聖堂】　★アレグラ...　★オウ...　★グウロ...

目の前の長椅子で眠っていたアレグラは、自他認める面倒臭がりだった。
掃除を頼まれた長椅子で、転寝ならまだしも居眠りって如何なのだろう。
『一休みのつもりが…』ならまだ可愛いけれど、神官に押し付けて堂々と居眠りって。
髪を切るのを面倒に思うくらい、まだまだ序の口でしたね。
まあ―――、彼の場合は願掛けのようですけれど。
願いの中身を聞いてみたいなど、野暮も極まりないでしょうか、ね。


―――愛しい人が、大切な友人が、危険な場所へ赴く不安。
心の準備をする時間すらくれないなんて、意地悪にも程がある。
けれど私は、止まり木だから。燕を待つ、止まり木。
『待ってます』――怖いけど、不安でたまらないけど、そう云うんです。
でも今回は、後押ししてくれた人が居たから。
『脅し』を、掛けた。
二人とも笑ってくれたから、きっとこの脅しは効果抜群な筈。
…思いもよらない副産物まで生み出してくれましたけれど。



―――さあ、まずは。
しっとり、さらさら。一人でも、指先で分かるようにならないと。
あとは…良い目医者を見付けにも行かないと。